本日mabl は、2022年版のDevOpsにおけるテストの実態報告書(英語)」を発表しました。これにより、デジタルトランスフォーメーションにおけるソフトウェア開発組織のDevOpsと品質エンジニアリングの導入状況が分かります。初めて実施された2019年以来、「DevOpsにおけるテストの実態調査」は、組織がどのようにアジャイルな開発プラクティスを重要なビジネス指標(顧客満足度や高いデプロイ頻度、スムーズなリリースなど)に繋げているのかを、品質とテストを中心とした見解を提供しています。

今年の調査では、500 人以上のソフトウェア開発と品質の専門家が、DevOpsの採用状況やテスト、ソフトウェア開発についてのインサイトを提供してくれました。その結果、デリバリーサイクルが高速化する一方で、組織がいかに順調に自動化、とりわけテストの自動化を取り入れることができているかが分かりました。

包括的なDevOpsの課題と成功

昨年同様、文化的側面の問題から移行の成功に必要なリーダーシップやスキルの欠如に至るまで、DevOpsに関する課題は特有な包括性を持っていました。予算的な事情や技術面での制約もある程度課題とされているものの、主にプロセスと人材に関する要因が依然として大きな問題でした。

DevOps採用の阻害要因として一番回答が多かったのは「変化プロセスの遅さ」でしたが、これといって突出した要因はなく、さまざまな要素が絡み合い阻害要因となっていることが示されてました。多様な問題の解決は一見困難なようですが、2022 年「DevOps におけるテストの実態調査報告書」から、多くの組織が、開発パイプライン全体で自動化を実施し、テストにおけるコラボレーションを促し、デプロイ頻度を上げることで、DevOps採用に成功していることが分かりました。

自動化でデプロイ速度が向上

今年の報告書から、ソフトウェア開発組織の動きが速くなっているというトレンドが浮き彫りになりました。回答者の75%が、この1年間で全体的にデプロイ頻度が増加したと答えています。この増加の度合いはDevOpsの成熟度と密接に関連しています。

DevOpsを完全採用した組織は、1日に複数回デプロイする傾向が5倍以上高く、年1回または半年に1回のデプロイを行なっている企業はありませんでした。

動きの速いチーム、つまりDevOpsの成熟度が高い組織の差別化要因は、パイプラインおよびデプロイプラクティスを並行して進化させていることでした。また、DevOpsを導入した高いベロシティのチームは、高度に自動化されたパイプラインを使用している傾向が顕著でした。

調査参加者の大半(72%)が、技術面の制限はDevOps採用の阻害要因ではないと回答していますが、パイプライン全体の自動化がデプロイ頻度に明らかに影響していることから、DevOpsの未来を支えるツールが何であるか分かりました。

DevOpsチームに必要なツールは、機能的なだけでは十分ではありません。プロセスの改善につながる使いやすさ、開発パイプライン全体へ統合できることが大切です。回答者の72%が、技術面の制限はDevOpsの阻害要因ではないと回答しており、コラボレーションを簡素化し高いベロシティを構築できるツールが機能よりも重視されていることが分かります。

素早い行動は必ずしも破壊ではない

自動化されたパイプラインを持つDevOps成熟度が高いチームは、デプロイの頻度が多いだけでなく、自信を持ってデプロイできており、その結果は顧客の体験にも反映されています。「素早く行動し、破壊せよ」という考え方はすでに過去の栄光であり、今日成功するソフトウェア開発組織は、幅広いテストプラクティスと品質重視の文化に支えられていることが多いのです。

パイプラインが完全に自動化されているチームは、デプロイ頻度が多い傾向にあるのに加え、テストカバレッジを「良い」または「優れている」と評価する傾向も9倍高くなっていました。しかし、デプロイの増加は、必ずしも本番環境でのバグ数の増加にはつながっていませんでした。それどころか、スピーディに変革を遂げることができたチームは、高い顧客満足度を確保できていました。

また、完全自動化されたパイプラインを持つチームは、顧客満足度を「良い」または「優れている」と評価する傾向も2.5倍高くなっていました。これによって、自動化、コラボレーション、加速化などのDevOpsの各側面が、それぞれの独立した変化の難しさを表しています。 ツールやプロセス、人のあらゆる側面を進化させられる組織こそが、DevOpsのリーダーとなり、ますます競争が激しくなるデジタル経済の中で顧客を維持できる組織となるでしょう。

テストの進化でDevOpsプラクティスを改善

皆さんに2022年「DevOpsにおけるテストの実態調査報告書」を見ていただけるのがとても楽しみです。この調査結果は、ソフトウェアの品質に関わる人たちの役に立つインサイトの宝庫となるでしょう。mablの共同創設者として私自身も、ある程度予測はしていたものの、ソフトウェアテスターと品質のプロたちがDevOpsの成功に大きく貢献しているのを実際に数字として見ることができ、感極まる思いでした。

品質の向上は、ソフトウェアのエコシステム全体にプラスになります。ストレスのないデプロイが増え、バグの数は減るでしょう。エンジニアたちは自信を持って製品開発を進めることができ、品質チームはユーザーエクスペリエンスの向上に力を入れられる。ソフトウェアテストと品質工学のトレンドに関するウェビナーを2月22日に開催します。2022 Testing in DevOps ReportがQAにとって何を意味するのか、実際に品質のリーダーがどのようにテストプラクティスを成熟させているのかを探り、活発なQ&Aセッションを行う予定です。登録はこちらから。